研究概要 |
目的:我々は,臼歯喪失が学習・記憶能力に与える影響について検討するために,老化促進モデルマウスP8(以下SAMP8と略す)を用いて,海馬の形態学的検討を行った。その結果,臼歯を喪失させたSAMP8は臼歯を喪失させていないSAMP8と比較して,海馬CA3領域の錐体細胞数が有意に減少していることが明らかとなった。そこで今回は有意な減少を示した5ヵ月齢において,学習・記憶機能に関係が深いと言われている神経伝達物質であるアセチルコリンの合成酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼ(以下ChATと略す)について,免疫組織化学的検討を行った。 方法:群の構成としては,2ヵ月齢で上顎臼歯をすべて抜歯し,5ヵ月齢まで飼育したものを実験群,一方,2ヵ月齢で抜歯せず,麻酔処置のみ行い,5ヵ月齢まで飼育したものを対照群とした。5ヵ月齢になった時点で灌流固定し,脳を摘出後,抗ChAT抗体による免疫組織化学染色により対角帯核のChAT陽性細胞の変化を検討した。 結果:5ヵ月齢時において臼歯喪失による対角帯核のChAT陽性細胞の有意な変化は認められなかった
|