研究概要 |
Interleakin-18はNK細胞やT細胞に作用しIFN-γを強力に誘導する他,NK活動の増強,Fas-L発現上昇作用によるFas^+細胞のapoptosis誘導など幅広い生理活性を有する。今回われわれは,IL-18の持つ抗腫瘍活性に着目し,IL-18を用いた遺伝子治療の基礎的検討を行った。 mouse IL-18発現ベクターを,lipofectionによりBALB/c由来マウス扁平上皮癌細胞株PAM212へ導入を行い.通法に従って,IL-18mRNA高発現株PAM212/IL-18を確立した。これらについて,内因性caspase-1(ICE)のmRNAの発現をRT-PCRで検索し,その発現を確認した。また,培養上清中に分泌されたIL-18蛋白が真に機能的であるかを検索する目的で,マウス脾細胞を採取後,培養上清で刺激したで刺激したところ,マウス脾細胞からのIFN-γ産生量はコントロールに比べ有意に高値を示した。次いで,PAM212/IL-18 BALB/c miceの皮下に移植し経日的に推定腫瘍体積を測定しを行ったところ,有意な腫瘍増殖の抑制効果が認められた。移植後7日目の腫瘍を摘出し免疫染色を行い,浸潤細胞の同定を行ったところ,CD4,CD8,NK1.1陽性細胞の浸潤がそれぞれ認められた。以上の得られた結果から,IL-18を用いた遺伝子治療は有用であることが示唆された。今後は,本実験で確立したPAM212/IL-18マウス移植モデルを用い,in vivoにおける腫瘍巣でのkillingに関与する各種サイトカインの局在,また二次リンパ組織における免疫細胞の構成の変化についての検索を行い,IL-18の扁平上皮癌に対する抗腫瘍効果についてより詳細な検討を加える予定である。
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