研究概要 |
1.体細胞での機能 DJ-1結合タンパク質として、アンドロゲン受容体(AR)の転写制御因子であるPIASxα、タンパク質のSUMO-1修飾に関与するUbc9,Daxx,HIPK1、p53結合タンパク質p53BP3、新規タンパク質DJBPを同定した.まず、DJ-1はARの負の制御因子であるPIASxαと結合・吸収することでARを活性化するARの正の制御因子であることが明らかとなった。PIASには複数のファミリータンパク質があり、DJ-1は負の活性を有するPIAS3,PIASyとも結合するが、その相互関係は不明である。更に、PIASxαはHepG2などの細胞では逆にARを活性化するが、DJ-1は活性化されたARには作用しない.また、DJ-1はPIASxαと同様にARの負の制御因子であるDJBPも結合・吸収しARを活性化したことより,DJ-1は抑制化型ARの救助因子として機能した.また、DJ-1の機能にはSUMO-1修飾が必要であった.更に,ARの機能発揮には核内ドット状構造への局在が必須と考えらているが,AR機能低下を引きおこす内分泌かく乱物質投与の種類によってはARのこの局在が変動するものと変動しないものがある.これらのいずれにおいてもDJ-1は局在を核,細胞質と変動することから,ARが機能発揮するためには,DJ-1との核内ドット状構造への共局在が必須であることが明らかとなった. 2.精子での機能 DJ-1は精子頭部に局在する.in vitroでの人工授精実験で,AR機能低下を引きおこす内分泌かく乱物質投与マウスでは受精能が低下し,坑DJ-1血清は正常マウス受精能を抑制した.更に,X線結晶構造解析の結果,DJ-1はプロテアーゼIとの酷似が認められ,事実DJ-1は弱いながらプロテアーゼ活性が存在した.この事より,DJ-1は卵への結合後,プロテアーゼ活性により卵に侵入に関与すると考えられた.
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