研究概要 |
<研究目的>病院情報システムに蓄積されている医療情報に基づき病院の経営分析を綿密に行い、医療の質の向上と経費節減のバランスのとれた病院経営情報を創出する。 <方法>平成12年度に新潟大学医学部附属病院で冠動脈・大動脈バイパス移植術(2本以上)の手術を受けた15例について、術前日数、術後日数、収入細目とその額、経費細目とその額を病院情報システムから抽出するシステムを構築しデータを抽出した。得られたデータのうち、他の症例に比べ著しく異なる値(はずれ値)を検出するために、Grubbs-Smirnovの棄却検定を行なった。在院日数と収入との関連を調べるために、在院日数を横軸、収入を縦軸とする散布図を作成し折れ線回帰分析を使って,収入カーブが有意に折曲する点を求めた。術前、手術、術後の収支の時系列分析を行なうため、横軸に入院期間のカレンダー月、縦軸に収支額をとり折れ線グラフを自動作成するプログラムを作った。本グラフ上には、収支に関連のある診療データを経時的に記述した。 <結果>以下のことがわかった。(1)術前の入院日数の平均値と標準偏差は、18.5±14.3であった。この術前日数は他の同規模の病院に比べてかなり長い。折れ線グラフによる分析の結果、手術室ならびにICUベットの予約待ちが原因であると考えられる。通常の患者で4〜5日、長い患者で14日間の予約待ちがあった。(2)術後日数の平均値と標準偏差は、34.6【minus-plus】24.8であった。診療録との照合ならびに折れ線グラフの分析により、重症度の違いにより術後日数のばらつきが他病院に比べて著しく大きい事がわかる,(3)折れ線回帰分析の結果,入院日から起算して在院日数が28日未満では、在院日数にかかわらず総収入が350〜400万円であり、28日以上では1日あたり平均37,500円の収入がある。28日以上では折れ曲がる点はなく直線的に収入は増加する。
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