研究概要 |
聴覚障害児童・生徒の論理的な思考や創造的思考を育成するために、「類推活動」を取り入れることが有効であることを、多角形の内角の和の教材を例に実践した。すなわち、「4角形は2つの3角形に分けられる」「5角形は3つの3角形に分けられる」・・・の類推から「(6,2)角形は2つの(5,2)角形に分けられる」「(7,2)角形は3つの(5,2)角形に分けられる」・・・を導き出している(『聴覚障害生徒の類推能力の育成を図る教材の開発について』第35回全日本聾教育研究大会研究集録(2001)137-138.)。また、数学に興味を持たせ、自立に向けて自ら数学学習に興味を持たせるために、作業活動を取り入れた数学教材『長方形の紙を3等分しよう』『独楽で遊ぼう・・・円の中心はどこにあるのか』『数量感覚の育成について・・・九九の棟の作成を通して』『サッカーボールを作ろう』『平行線を引こう』など(これらの一部は、2002年度数学教育学会夏季発表論文集参照)を開発し、聴覚障害児童・生徒に対して実践授業を行い、その有効性を検証した(『聴覚障害生徒に対する作業活動を取り入れた数学教材の開発』第36回全日本聾教育研究大会研究集録(2002)76-77)。これらの教材開発の経験を通して、多様な見方・考え方を引き出す教材を開発する方法について、特に図形教材を例に教員養成の立場から検討を行い、解法の構造的見方(ある課題の解法を元とする集合を考え、その元の間の関係、すなわち、解法間の関係を調べる)が有効であるとの示唆を得た(11の研究発表[雑誌論文]参照)。
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