研究概要 |
本研究では,地上構造物,樹木,地表面の不整形性などの外乱要因の存在によって地震動が受ける影響を観測記録や数値解析などによって定量的に評価し,これらの影響を考慮した地震外力の推定手法を開発することを目的としている. 本年度は,1.観測記録に見られる地震動の不規則性の検討,2.構造物の基礎が周囲の地震動に与える影響,3.地表面の不整形性が地震動に与える影響の三点について研究を行った. 1.観測記録に見られる地震動の不規則性の検討 昨年度行った最大加速度や応答スペクトルの空間分布の検討に引き続き,本年度は新たに計測震度を取り上げて,同一地震によって生じる2点の計測震度の違いをその差(計測震度差)の統計解析によって検討した.得られた結果を地震第2輯に発表した.本研究は,現在広く用いられている計測震度の空間分布についての情報を与えるものであり,地震動の空間的確率分布を考慮した入力地震動の算定手法の開発のための基礎研究となるものである. 2.構造物の基礎が周囲の地震動に与える影響 基礎のロッキングインピーダンスの評価は,基礎-地盤-構造物の逸散減衰効果等の動的応答特性を把握する上で非常に重要である.このため,本研究では弾性波動論に基づいて基礎の柔性によるインピーダンスへの影響を評価した.これらの成果を第37回地盤工学研究発表会で発表した. 3.地表面の不整形性が地震動に与える影響 本年度は境界要素法と摂動解法を組み合わせた新たな解析手法を用いて,地盤の不整形性が地表面の各点の地震応答に与える影響について詳細に調べた.その結果,境界要素法-摂動解法から算定される散乱波の寄与によっで不整形地盤の地震応答が解釈されることなどを示した.これらの成果は来年度中に公表する予定である.
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