研究概要 |
本研究では光を透過させる性質のある色素増感型太陽電池と非結像フレネルレンズを集光デバイスとする集光型集熱器を組み合わせた光・熱ハイブリッドシステムの開発を目的としている。発電に用いる色素増感型太陽電池は可視光領域の光を発電に用い、赤外線領域の光を透過する。ハイブリッドシステムでは色素増感型太陽電池の下に集光型集熱気を設置して太陽電池を透過した光を集熱管に集光して高温熱として回収する。 色素増感型太陽電池の発電性能は導電性ガラスに焼き付けた二酸化チタン(TiO_2)膜が厚くなれば向上するが、透過熱量は減少する。TiO_2膜が2μmと9μmの試験用のセル(CellA, CellB)の透過熱量と波長別の透過率を測定した。透過熱量はCellAで入射エネルギーの40.7%, CellBで27.2%であり、波長別の透過率から算出した透過光のエネルギー量は44.6%と31.4%であった。 集光に用いる非結像フレネルレンズは非結像光学に基づいて設計されたレンズで縦・横断面方向に許容入射半角を有している。このレンズは昨年度、設計・性能評価を行ったもので開口部幅が152mm、受光部幅が7.9mmで幾何学的集光比が19.3倍である。レイトレーシング法によりセルの透過光の集光シミュレーションを行ったところCellAで透過光の66.3%が,CellBで71.5%が集光可能であった。ハイブリッドシステムで熱エネルギーとして集熱管に集光可能なエネルギーはそれぞれ29.6%,22.5%と推定された。
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