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閉鎖的海域における海洋環境変動の比較研究:「比較縁海学」事始

研究課題

研究課題/領域番号 13878094
研究種目

萌芽研究

配分区分補助金
研究分野 環境動態解析
研究機関北海道大学

研究代表者

蒲生 俊敬  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70143550)

研究期間 (年度) 2001 – 2002
研究課題ステータス 完了 (2002年度)
配分額 *注記
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2001年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード縁海 / 深層循環 / スールー海 / 日本海 / 化学トレーサー / 海洋環境変化 / CTD観測 / 溶存酸素 / 閉鎖的縁海 / 深層水の形成機構 / 深層水の循環 / 物質循環 / 環境変化
研究概要

本研究は,縁海のような規模の小さい閉鎖海域の物質循環の特徴を明らかにし,それらを縁海間で比較することによって,グローバルな海洋環境について斬新なアイディアを追究する新しい試みである。代表的な縁海として日本海とスールー海にターゲットを絞り,海域調査とデータの解析を進めた。本年度は東大海洋研究所白鳳丸のKH-02-4航海(02年11月7日〜12月18日)に乗船しスールー海の調査を実施した。スールー海は,日本海のような自前の深層水形成機構を持っていない。しかし,スールー海の深・底層水は決して無酸素状態ではなく,何らかのメカニズムによって酸素の補給路が維持されていること,すなわち海水の上下混合が細々ではあれ存続していることを示している。このメカニズム解明にむけ,スールー海および隣接するセレベス海と南シナ海で海洋表面から海底直上に至る詳細なCTD観測とニスキンX採水器による海水採取を行った。船上及び陸上の実験室において海水中の化学成分濃度および同位体比を計測した。1996年のデータと比較すると,スールー海の深・底層水の酸素濃度は明らかに減少し,ポテンシャル水温は増加していることが明らかになった。これより1996年〜2002年の間,スールー海における海水の鉛直混合は不活発であったと推定できる。他の化学・同位体データも総合すると,スールー海の海水循環における重要な構成要素を以下のように指摘できる。
1)南シナ海からミンドロ海峡を経て常時流入する中層水。スールー海の底層に達するほど高密度ではない。
2)数十年ごとにミンドロ海峡を経て流入する高密度水。何らかの原因(例えば巨大台風の通過あるいはグローバルな環境変化)で南シナ海の温度躍層が上昇し,大量の海水がタービダイトとしてスールー海深層にまで流入する。
3)スールー海海底から供給される地熱。底層水の密度構造を不安定化させ,深・底層水の上下混合を促進する。
これらの要因はいずれも日本海とは極めて対照的であり,日本海とスールー海は縁海の深層循環系という観点からみて両極端に位置すると結論できる。

報告書

(2件)
  • 2002 実績報告書
  • 2001 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] T.Gamo, G.Glasby: "Hydrothermal activity in coastal zones"Land and Marine Hydrogeology (M.Taniguchi, K.Wang and T.Gamo eds.), Elsevier. (印刷中). (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] U.Tsunogai, N.Yoshida, T.Gamo: "Carbon isotopic evidense of methane oxidation through sulfate reduction in sediment beneath cold seep vents on the seafloor at Nankai Trough"Marine Geology. 187. 145-160 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] U.Tsunogai, F.Nakagawa, D.Komatsu, T.Gamo: "Stable carbon and oxygen isotope analysis of atmospheric carbon monoxide using CF-I RMS by isotope-ratio monitoring of CO"Analytical Chemistry. 74(22). 5695-5700 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] J.Ishibashi, M.Sato, Y.Sano, H.Wakita, T.Gamo, W.C.Shanks III: "Helium and carbon gas geochemistry of pore fluid from sediment-rich hydrothermal system in Escanaba Trough"Applied Geochemistry. 17. 1457-1466 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 蒲生俊敬: "日本海深層循環系の成立と現状"「日本海学の新世紀第3集」(角川書店). (印刷中). (2003)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] 角皆潤, 上妻史宜, 中山典子, 蒲生俊敬, 金子将: "潜水調査船用多連式ガスタイト海底湧水採取装置の開発と応用"JAMSTEC深海研究. 21. 91-95 (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書
  • [文献書誌] Toshitaka Gamo et al.: "Recent upward shift of the deep convection system in the Japan Sea, as inferred from the geochemical tracers tritium, oxygen, and nutrients"Geophysical Research Letters. 28(21). 4143-4146 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書
  • [文献書誌] 蒲生俊敬: "日本海深層水に生じつつある異変"海のサイエンスシリーズ(「日本海の環境を考える」…この美しい海をまもるのは私たち…),日本水路協会海洋情報研究センター発行. 9. 21-29 (2001)

    • 関連する報告書
      2001 実績報告書

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公開日: 2001-04-01   更新日: 2016-04-21  

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