大気イオンを経由して有機化合物がエアロゾルに取り込まれる過程を実験的に検証し、取り込まれる有機化合物量の推定に必要な基礎データを得るための実験システムの構築を行った。 実験システムは有機化合物を含む混合空気の調整部とドリフトチューブ型イオン移動度/質量分析装置(DT-IMS/MS)から構成される。ボンベから供給される高純度空気への有機化合物の添加はパーミエーターを用いて行う。パーミエーターには温度調整可能なオーブンが付いており、特定の有機化合物のパーミエーションチューブを設置することにより一定量の有機化合物を実験空気中に加えることができる。パーミエーションチューブを変えることにより、様々な有機化合物を加えることが可能である。混合空気は^<241>Amによって電離され、生成したイオンはドリフトチューブ内で一定時間反応をしながら質量分析計に導入され分析される。 低濃度の有機化合物を加えた場合のイオン-分子反応の測定可能性を調べるために、トリメチルアミンを用いて測定のテストを行った。トリメチルアミンを加えない場合の正イオン質量スペクトルでは、NH_4^+(H_2O)_n、が主要な正イオンとして測定される。これに76ppbのトリメチルアミンを加えてみたところ、質量数60のトリメチルアミン・H^+のイオンだけになった。トリメチルアミンの陽子親和力はアンモニアよりはるかに高く、プロトン移動反応によってトリメチルアミンへ電荷が移動することが確認できた。
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