研究課題/領域番号 |
13878107
|
研究種目 |
萌芽研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境保全
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
川辺 みどり (川邉 みどり) 筑波大学, 社会工学系, 講師 (80312817)
|
研究期間 (年度) |
2001 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | 熱帯アジア / 沿岸 / 地域共同体 / 環境管理 / アジア / 沿岸環境管理 |
研究概要 |
熱帯アジア沿岸では経済のグローバル化にともないエビ養殖池・リゾート開発が沿岸生態系を荒廃させ、地域住民の生活基盤を根底から揺り動かしている。しかし、こうした厳しい状況の中で、零細漁業を生業とする沿岸住民の共同体組織が植林・環境教育をとおして自律的な資源管理を目指している事例が文献で散見される。70年代から強力に進められてきた中央集権的資源管理の失敗と、小規模ながら共同体に基づく沿岸資源管理(CBCRM)の成功の経験から、地域共同体が母体となって風土や伝統に根ざした技術や知識を生かす方法が熱帯アジアの沿岸資源管理には最適であると認識が高まった結果とも考えられる。 2002年3月にはフィリピン共和国ビサヤ諸島では現地調査をおこなった。米国政府機関の援助を受け、80年代から各地で数多くのCBCRMが行われた。トロール漁やサンゴ礁爆破など沿岸生態系を破壊しがちな漁業から、資源を保全する形の漁業への転換、マングローブの植林などを含む包括的な沿岸保全へと進展し、また、自然資源をいかして漁業からエコツーリズム・ガイドへと転換する事例も見受けられる。ただし、全体の3割程度しか成功例はないということがわかった。 2003年3月にはインドネシア共和国ジャワ島シドアルジョ地域の伝統的エビ養殖を調査した。1980年代後半以降、国際市場の高値を背景とした工業的エビ養殖の展開が沿岸生態系を荒廃させ、地域住民の生活基盤を根底から揺り動かしている状況の中で、環境に負荷を与えない伝統的なエビ養殖はきわめて異色な存在である。また、ここで生産されたエビが「民衆交易」として商社オルター・トレード・ジャパンによって日本に輸入され、環境・人権・食の安全に一定の基準を設けた組織(生協など)によって販売されていることは、消費者の選択によって一次産品の生産過程を持続可能なものにする可能性を示唆すると考えられる。
|