研究概要 |
膜タンパクephrinとそのリセプターEphを発現する細胞は特別な相互作用Bilateral閾値制御を行うとに注目し、これらの細胞を形態形成のポジショナルインフォーメーション理論に組み入れた。これまでは拡散分子を考えられていたが、ここでは膜タンパク分子が働いている。 肢芽などの細胞において、同じ細胞がephrinもEphも発現すると、発現レベルに応じて細胞が並び替えを起こし細胞勾配パターンが自己構築されることは既に示した。この結果を形の科学会第56会シンポジウム(福井大,03/11)やSymmetry Festival(ブダペスト,03/8)、日仏応用数学ワークショップPICS(マルセイユ,04/3)で発表した他、大学セミナーとして紹介した(奈良女大・理03/6;広島大・総科03/8)。 Ephとephrinの特別な相互作用のためには、両分子が反比例しながら発現しなければならない。遺伝子の発現に正および負帰還を考えることでこれが発現が可能であることを数学的に示した。この結果は岡崎共同研究機構の研究会「生命の時空的な制御」(基生研,04/3)で発表した。また、「非線形非平衡現象の数理」第4巻第4章として出版される(印刷中 東大出版)。 ephrinとEphの相互作用は人為的に手術を加えたり、遺伝子のノックアウトやノックインをおこなうと奇妙な振る舞いを起こす。これについてもBilateral閾値制御で説明することができた。この結果の発表は発生生物学会第36回大会(札幌,03/6)および生物物理学会第41回年会(新潟,03/9)で発表し、J.Neurosci.に載せる事ができた。また細胞がBilateral閾値制御により変形し移動する様子を電算機シミュレーションしたいのだがこの目的のために必要な細胞の3次元多面体モデルが完成し、J.Theor.Biol.に載せることができた。
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