研究課題/領域番号 |
13878174
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験動物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小原 恭子 東京大学, 医科学研究所, 講師 (20225478)
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研究分担者 |
甲斐 知恵子 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10167330)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | HCV / ツパイ / Fas / アポトーシス |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)は感染後高率に持続感染を成立し、慢性肝炎・肝硬変に移行して肝がんを引き起こす。日本では全人口の約2%が抗体陽性であるが、有効な実験動物モデルがない事がその解決の大きな障害となっていた。これに対し我々は、ツパイをHCVの感染動物モデルとして樹立する事を目指して解析を行なった。ツパイの血液性状は他のマカク等のサルとほとんど変わらない事が明らかとなった。また、1回の採血量は1匹あたり0.5mlが限度であり採取できるリンパ球数は1x10^5以下と少なくCTL活性は血中のIFN-γ測定による方が好ましい事が明かとなった。ツパイへのHCV外被膜蛋白の免疫には我々が開発した麻疹ウイルス(MV)ベクターを用いる事とし、予めツパイのリンパ球で、MVが感染する事を確認した上で組み換えMVの作製を行なっている。 HCV持続感染成立の分子メカニズムを解明するため、我々の樹立したHCV構造蛋白のトランスジェニック(Tg)マウス解析も行なった。マウスに抗Fas抗体を投与すると、劇症肝炎を起こして12時間以内に50%が死亡するのに対し、HCV構造蛋白発現下ではほとんど死ななくなる事を見いだした。Fas下流の経路を解析したところCaspase8活性には差がないがCaspase9活性は低下している事が明らかとなった。そこで、この間のミトコンドリア経路が修飾されている可能性が考えられたため、肝細胞ミトコンドリアからのチトクロームC放出を検討したところ、HCV Tgマウスでは抑制されていた。以上の知見はHCVがアポトーシスを阻害して持続感染を成立させている可能性を強く示唆しており、ツパイ感染系でもこれらの検証を行なっていく予定である。
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