研究課題/領域番号 |
13878184
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研究種目 |
萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田畑 泰彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | マトリックスメタロプロテアーゼ / プラスミドDNA / 生体吸収性ハイドロゲル / 徐放化 / 遺伝子発現 / 慢性腎炎 / 線維性組織消化 |
研究概要 |
ゼラチンのカルボキシル基にエチレンジアミンを化学導入することによって、カルボキシル基の50モル%がアミノ基に置換されたカチオン化ゼラチンを作製した。このカチオン化ゼラチンをグルタルアルデヒドにて化学架橋することによって生体吸収性のカチオン化ゼラチンハイドロゲルを得た。凍結乾燥したハイドロゲルを、MMP-1プラスミドDNA水溶液で膨潤させることによってMMP-1プラスミドDNA含浸ハイドロゲルを調製した。放射性同位体を用いた体内物質トレーサー実験により、in vivoにおいて、ハイドロゲルの分解にともないMMP-1プラスミドDNAが徐放されることがわかった。架橋反応条件を変化させることで、ハイドロゲルの生体内分解性をコントロールすることができ、この分解性によってプラスミドDNAの体内での徐放性を変えることができた。MMP-1プラスミドDNA含浸カチオン化ゼラチンハイドロゲルによる慢性腎炎モデルラットの治療実験を行った。ストレプトゾトシン投与により慢性腎炎を起こした腎実質へハイドロゲルを投与した。MMP-1プラスミドDNA含有ゼラチンハイドロゲルの埋入部位周辺における組織免疫試験を行ったところ、MMP-1タンパク質の発現が認められた。一方、MMP-1プラスミドDNAの水溶液投与では発現は見られなかった。組織学的評価を行ったところ、プラスミドDNA含浸ハイドロゲル投与群では、腎組織中での線維性組織の占める面積が減少していた。また、繊維化の指標であるハイドロキシプロリンを定量したところ、遊離MMP-1プラスミドDNA投与群に比較して、プラスミドDNA含浸ハイドロゲル投与群では、有意にその量が減少していた。血液中の尿素窒素の値もハイドロゲル投与群では正常化していた。 以上の結果から、線維性組織を分解消化する酵素であるMMP-1を慢性疾患部位で発現させることにより、線維性組織が消化され、その部位が治療修復することがわかった。これは、本研究計画によって提案した内科的再生医学の可能性を強く示唆している。
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