研究分担者 |
杉野 隆 大阪大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90206417)
光田 好孝 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20212235)
平田 敦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50242277)
鈴木 哲也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10286635)
澤邊 厚仁 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70187300)
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研究概要 |
アダマント材料の合成及びこれを用いたコーティングについて広範囲かつ詳細な調査研究を行った.アダマント耐熱性コーティング,アダマント膜の生体内利用についての結果を代表として以下に示す. 1.アダマント膜による耐熱性コーティングについて 耐熱性の向上はアダマントコーティング膜の用途拡大のために重要である.DLC系アダマント膜については400℃以上での水素の脱離とグラファイト化の進行が確認されている.また,水素の含まれないtaCでは600℃程度と耐熱性が高いこと,Siを15at.%程度加えることにより500℃程度まで耐える水素化DLC膜が作製できることが示唆されていると言える.このように第2元素,第3元素を添加したアダマントであるdoped-DLC膜は今後耐熱性の向上のために有効な手法であろうと考えられる.その一環として行ったBCN系アモルファスアダマントでは,DLCと比較して耐熱性が向上したことが確認でき,さらに膜中の炭素量を増加させる,酸素量を減少させる等による耐熱性の向上が期待されることがわかった. 2.アダマント膜の医療機器及び生体材料への応用 DLC系アダマン`ト膜をコートしたステントは従来のステンレス製のステントと比較して耐食性や抗血栓性に優れている.これまで日本が取り組んでこなかった「手術用・治療用機器」といった高リスク医療機器は,今後,世界的な需要拡大が見込まれている.また,DLC系アダマント膜が応用されている医療用デバイス(「処置用機械器具」・「生体補助機能・代行器」)に対する医療側からのニーズは,技術の高度化であり,DLC系アダマント膜はこの要請に応えるものといえる.診断・計測分野や治療・生体機能代行分野を対象に炭素系高機能材料の特徴である化学的特性(生体適合性),機械的特性(強度,低摩擦係数)を生かした医療用デバイスへの応用は,医療の要請に応えるとともにビジネス展開の可能性も高く,今後積極的な技術開発が望まれる. これらの成果をふまえ,平成14年度の科学研究費特定領域研究に申請中である.
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