研究課題/領域番号 |
13897009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 企画調査 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
澤口 聡子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (90235458)
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研究分担者 |
澤口 彰子 東京女子医科大学, 医学部・法医学教室, 教授 (10050460)
仁志田 博司 東京女子医科大学, 母子総合医療センター, 教授 (80104553)
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研究期間 (年度) |
2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2001年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 覚醒 / 乳幼児突然死症候群 / GFAP / TUNEL / アポトーシス / 睡眠時無呼吸 / 反応性アストロサイト / 背側縫線核 |
研究概要 |
(小児における覚醒反応の生理学的定義に関する検討) European Pediatric Wake-up Clubにおいては、ベルギー国内およびヨーロッパのsleep unitの管理者達によって、小児における覚醒反応の定義づけについて、数回の討議が試みられている.その討議結果を調査し、論文化した(法医学の実際と研究44:269-274(2001)).小児の覚醒反応は、皮質性の覚醒反応Cortical Arousal・皮質下の覚醒事象Subcortical Event・覚醒awakeningの3者に区分して定義づけられ、前2者はいずれも干渉されない睡眠が、少なくとも10秒以上続いた後でのみ、記録される. (覚醒反応に関する生理学的データと病理学的データの統合) ブリュッセル自由大学付属小児病院スリープユニットで、過去20余年にわたり、健康乳幼児約28000例に対して、prospectiveに睡眠時のpolysomnography解析(無呼吸・血圧・体動・脳波等)を行い、これらの中で38例がSIDS及びその他の原因により死亡した.この38例(26例がSIDS)に対して、retrospectiveに脳幹の組織ブロックを収集した.事例毎に、prospectiveな生理学的データ(睡眠時無呼吸即ち中枢性無呼吸と閉塞性無呼吸の長さと頻度)とretrospectiveな病理学的データ(脳幹の呼吸及び覚醒関連諸核における低酸素性指標GFAP・アポトーシスとニューロトランスミッターの免疫組織化学及び核酸組織化学を定量化したもの)をリンケージし、相関分析・分散共分散分析を行った.SIDSであるかないかに関して、GFAP陽性反応性アストロサイト及びTUNEL陽性グリア細胞のアポトーシスによって示された病理学的な低酸素性負荷と、生理学的な無呼吸の双方が、共に有意に影響を及ぼしているという結果はいずれの検索部位においても得られなかった.一方、SIDSであるかないかに関係なく、閉塞性無呼吸の長さと延髄網様体のGFAP陽性反応性アストロサイトの細胞密度、及び、中枢性無呼吸の長さと中脳背側縫線核のTUNEL陽性グリア細胞の細胞密度との間に、統計学的に有意な相関関係を認めた.網様体及び背側縫線核は覚醒経路の重要な構成因子である.以上より、SIDSであるかないかに関わりなく、睡眠時無呼吸と覚醒反応との間に存在する相関性が、SIDSであることによって消失することが明らかにされ、これはSIDSの病態生理が無呼吸からの覚醒過程における何らかの逸脱に関与することを示唆し、最終的に覚醒不全説に寄与するものと思われる.又、ニューロトランスミッターについては、SIDS群において、中脳背側縫線核のセロトナージックニューロンの細胞密度と中枢性無呼吸の長さとの間に有意な相関関係が存在した.
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