研究課題
特別研究員奨励費
一定の培養条件で脂肪細胞に分化誘導できて成熟脂肪細胞を形成する前駆脂肪細胞株の3T3-L1細胞を利用して、天然物質であるプロスタグランジン(PG)D2と、その安定類縁体である11-デオキシ-11-メチレン-PGD2の成熟脂肪細胞の形成に対する作用の比較検討を行った。すなわち、インドメタシンの存在下において、各種のPG類を添加して培養を継続すると、11-デオキシ-11-メチレン-PGD2は、PGD2や PGJ2関連物質のように成熟脂肪細胞の形成を有意に促進した。濃度依存性を比較検討の結果、明らかに11-デオキシ-11-メチレン-PGD2の方がPGD2よりも強い促進活性を示した。成熟期の脂肪細胞には、よく知られた核内受容体の発現に加えて、細胞表面のGタンパク質共役型の受容体であるDP1とCRTH2の遺伝子発現も確認された。また、インドメタシン存在下で、DP1とCRTH2のそれぞれに選択的なアゴニストによる成熟脂肪細胞での脂肪蓄積の有意な増加が認められた。一方、PGD2の2つの細胞表面受容体サブタイプに対する特異的なアンタゴニストの阻害作用の解析結果により、11-デオキシ-11-メチレン-PGD2は、DP1受容体に比べて主にDP2/CRTH2 受容体を介する細胞情報伝達系を介して作用していることが示唆された。PGD2についても、PGD2に由来するPGJ2関連物質による核内受容体の活性化作用に加えて、未変換物のPGD2によるDP1を介するシグナル伝達系の関与も想定された。今回の研究の意義として、これまでに、生理活性作用がほとんど報告されていないPGD2安定類縁体が示す脂肪細胞の成熟化の促進効果を明らかにした。その作用は、天然物の不安定なPGD2とは異なる作用様式であった。さらに、研究計画の課題に関連してPG類の生合成調節機構や代謝産物の測定のための研究も行った。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cytotechnology
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https://www.staffsearch.shimane-u.ac.jp/kenkyu/search/detail/975bc27228691c78b9827b5c1a6aa129/research.html
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