研究課題
特別研究員奨励費
ウイルスは宿主細胞の機能/因子群を動員・略奪することで増殖する。宿主細胞ではウイルスの侵入に応答して細胞内防御系を含む正常状態とは異なる多数の生命プロセスが可動する。これらのウイルス複製シグナルと細胞内応答シグナルが競合あるいは統合されて病原性の発現に帰結すると考えられる。ところで、遺伝子発現はDNAのゲノム情報や転写因子に加え、DNAのメチル化やヒストン修飾などのエピゲノム情報が、核内複合体と連動して転写環境を形成することによって制御される。マイナス鎖RNAウイルスであるインフルエンザウイルスの感染に対して宿主細胞でどのようなエピゲノム変化が引き起こされるか、そのエピゲノム情報の変化がどのような転写環境の変化をもたらし、インフルエンザウイルスの病原性の発現に関わっているかは、これまでほとんど明らかにされていない。本年度は、インフルエンザウイルスに感染した細胞およびマウス肺組織を用いて、H4K20のヒストンのメチル化修飾をウェスタンブロット法および免疫染色で解析した。その結果、H4K20のトリ・メチル化はウイルス感染にともなって低下することがわかった。一方最近申請者らは、インフルエンザウイルスに感染肺を用いて、解糖系、TCAサイクルやメチオニン回路などの代謝産物の経時的な産生の変化を解析した。その結果、SAH [S-adenosyl methionine]の産生が感染に伴って低下することがわかった。これらの結果から、インフルエンザウイルス感染によって代謝動態の変化とエピゲノム状態の変化が同時に起きていることが示唆された。
(抄録なし)
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