研究課題
特別研究員奨励費
上皮膜抗原(EMA)は、がん細胞において異常な翻訳後修飾を受け、より少ないO-グリカン鎖を持つ。細胞におけるEMAの増強発現は悪性細胞の生存を促進させるため、EMAはがん治療の標的として有用である。本研究では、分子学的、バイオインフォマティクス、イメージング解析によりがんの標的としてのEMAを評価する。また、がん細胞におけるシアリル-Lea、-Lex、-Tn等の腫瘍関連マーカーの翻訳後のグリコシル化特性を解析し、モータリン、CARF、p53等の腫瘍促進や抑制に関与するタンパク質との相互作用を調べる。これまでに行った、EMAのグリコシル化経路のバイオインフォマティクス解析、共発現マッピング情報を基に、シアリル-Lea、-Tnマーカーを含むグリコシル化経路の分析を行った。EMAのモチーフ探索解析により、腫瘍関連マーカーを標的とする免疫反応性抗原認識エピトープを同定した。ネットワーク相互作用解析では、EMA及びEGFRやSRCとの機能的関連性が予測され、EMAが細胞の成長・増殖において重要な役割を担うことが示唆された。EMAグリコシル化マーカーの解析は、上皮悪性腫瘍を標的とした効果的な免疫治療の発展に役立つと考えられる。また、p53欠損細胞におけるCARFの機能的関与とその影響について、 様々なp53状態の細胞株を使用し解析した。細胞増殖、増殖抑制、DNA損傷、アポトーシス、腫瘍形成において、CARF量を制御し、p53の役割を実証した。DNA損傷シグナリング経路の分子的・イメージング解析により、CARFが細胞増殖及び発がんの重要因子であることを証明した。CARF高発現は増殖抑制及び老化を導いたが、超高発現はin vitro及びin vivoにおいて発がんを促進させた。今後、CARF誘導による細胞増殖及び悪性転換の分子シグナリング解析のさらなる研究が必要である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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