本年度は、研究課題「国際法におけるConstitutionalismと倫理の機能」の第1年目として、研究計画に基づき、平成25年4月から7月までは所属機関(東京大学法学政治学研究科)にて、同年8月から翌年3月までは独ボン大学国際公法研究所にて、研究及び資料、文献収集に従事した。 具体的には、研究計画のうち、「I : 『国際法における秩序思考』とConstitutionalism」及び「II : Constitutionalism学説の史的展開」の部分に取り組んだ。 まず、Constitutionalismそのものについて議論するにあたって、「I」として、「国際法における秩序思考」と「秩序思考」内に属する諸概念(Constitutionalismの周辺概念)についての整理に取り組んだ。特に「秩序思考」論の代表的論者であるドイツのモスラーやオーストリアのフェアドロスの学説を中心に検討し、彼らによる「秩序思考」論の発展過程を整理するとともに、秩序思考としてどのような概念・観念が考案され、検討されてきたのか考察した。 次に、「II」において、現代国際法(学)に至るまでのConstitutionalism学説を巡る議論の史的系譜やその背景を明らかにすべく、「II-1 : Constitutionalismの起源と国際連合(国連)が設立されるまでのConstitutionalismの位置付け」について考察した。まず、Constitutionalismの起源・発祥について考察すべく、Constitutionalismなる用語を題目に含む英国最古の文献であるジェイムズ・ロリマーの1865年の著作Constitutionalism of the Futureについて、特に国際法の観点から分析することに留意して、検討を試みた。次に、国際連盟を経て、国際連合(国連)設立までの間、Constitutionalismを巡る学説はどのように展開されたのか。特に国際連盟規約における「秩序構築」のための協働作業の試みに焦点を当て、考察した。
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