研究概要 |
この研究では, 設計条件から予測できない曲げひび割れが生じた供用中のRC構造物を題材に, これまで設計で十分考えられていない, 若材齢で曲げひび割れが生じるRC構造物の時間依存変形機構を明らかにすることを目的とした。 本研究では以下のような計画で研究を進めた。 1. 若材齢で曲げひび割れが生じたRC梁の時間依存変形機構の解明 2. 若材齢で曲げひび割れが生じた長スパンRC箱桁の曲げひび割れ進展機構の解明 ■若材齢で曲げひび割れが生じたRC梁の時間依存変形機構の解明 曲げひび割れ発生材齢(材齢3日, 28日)の異なるRC梁を作製し, 曲げ持続載荷試験を行った。変形機構には収縮特性の違いも考慮している。 その結果, 曲げひび割れ幅拡大の要因は, 若材齢時に圧縮部コンクリートが乾燥クリープ変形で大きく変形し, 中立軸が上昇することで, 引張鉄筋の応力度が増加するためであると結論付けた。また, 引っ張り部において, コンクリートの見かけの伸び能力が向上したような現象が確認された。今後, 詳細を明らかにする予定である。 ■若材齢で曲げひび割れが生じた長スパンRC箱桁の曲げひび割れ進展機構の解明 RC梁による, 変形機構を考慮して, 数値シミュレーションを活用して, この研究で題材とした供用中のRC桁の変形機構を検討し, 曲げひび割れが経持的に進展した理由を考察した。その結果, 先と同様, 圧縮部のコンクリートのクリープ変形が主要因であり, 経持的に曲げひび割れが生じたことで, ひび割れ間コンクリートの収縮量も増加したことが原因と考察した。
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