研究課題
特別研究員奨励費
いもち病菌は、根からハイフォポディア(HY)やPre infection hyphae(Pre-IH)を介して感染するが、この感染戦略におけるオートファジー(ATG)の重要性については明らかとされていない。根感染過程におけるATGの重要性を明らかとするため、Atg8:GFP-H1:RFPを用いてATGと核の挙動を経時的観察を行った結果、顕著なATGの誘導や核の分解は認められなかった。また、ATG欠損株を根に接種し、病徴観察と透過型電子顕微鏡解析を行った結果、ATG機構が欠損していても病原性を有することが明らかとなった。これらの結果から、ATG機構は、根感染を成立させる上で、必須でないことが明なった。また、Veneaultらによって ATG誘導は、細胞周期と関連性があることが示唆されてきた。そこで、細胞周期のどのチェックポイントが根感染に重要であるかを、各チェックポイントを阻害した変異体やS期阻害Hydroxy urea(HU)処理によって、調査した。まず、感染器官の分化を形態学的に解析した結果、G1期やS期を制御すると、Pre-IHの分化が著しく抑制されていた。さらに、S期を制御すると、核分裂は阻害され、隔壁が次々と形成されるため、核の無い細胞が形成されることが明らかとなった。また、HYとPre-IHの間には隔壁を伴うくびれが生じるという特徴があることから、S期制御による細胞骨格の局在性をアクチン結合性Gelsolin:GFP標識株を用いて調査した。その結果、HU無処理区ではHYとPre-IHの間にアクチンが集積するが、処理区では、特定の部位での集積は認められなかった。さらに、接種実験を行った結果、G1期やS期を阻害すると、病原性の著しい抑制が観察されたことから、根感染には、G1/S期のチェックポイントが重要であると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (14件)
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