研究課題
特別研究員奨励費
アルツハイマー病の危険因子として、糖尿病をはじめとした生活習慣が言われている。申請者はこれまでに、糖尿病や高脂血症がアルツハイマー病の危険因子であることをモデルマウスを通じて報告してきた。高脂肪食を摂取したアルツハイマー病モデルマウスは、普通食摂取のモデルマウスに比べて、有意に認知機能の低下が見られる。しかしながら、この詳細なメカニズムについては依然として不明である。そこで、申請者は、高脂肪食摂取により引き起こされるアルツハイマー病増悪の病態について分子レベルでの解明を目的に、本研究計画を立案した。まず、アルツハイマー病モデルマウスに高脂肪食を摂取させる。すると、脳内の老人斑の増加が引き起こされるが、この老人斑の主成分はAβである。そこで、申請者は高脂肪食摂取によりAβの産生が亢進するのではないかという作業仮説をたてた。実際にAβ産生に関わっているBACEという酵素の活性が亢進していることが示されたため、このメカニズムについて、先のモデルマウスの脳を用いてプロテオミクス解析を行った。その結果、BACEと相互作用をしているAP-2というタンパク質が増加していることが明らかになった。BACEはAP-2およびclathrinと複合体を形成する。AP-2とより強固に結合することにより、細胞表面からendocytic pathwayに移動する。そこで基質であるAPPを切断する。結果として、高脂肪食によりBACEはAP-2との相互作用が増大し、細胞氷炎からendocytosisされる。それにより、より多くのAPPを切断してAβ産生の方向に向かわせるということが推測された。このように、高脂肪食摂取がAP-2とBACEの相互作用を増強させて、より多くのAβを賛成させることが明らかになったが、その詳細な機序については今後の研究が待たれる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://kinoshita-lab.hs.med.kyoto-u.ac.jp/