研究課題
特別研究員奨励費
《地域集団内での行動多型の検出》同一の地域集団、異なる集団に属し、様々な遺伝的背景をもつ4つのメダカ近交系を用いて驚愕反応特性を比較した。反応率低下の度合い(慣れにくさ)については、同じ野生集団(新潟集団)に由来するN2系統とHNI-I(N1)系統の間でも差が見られた。新潟集団の個体の「慣れにくさ」を定量したところ、N2と同程度の高い値から、N1よりも低い値までを示した。このことは、異なる地域集団間だけでなく、同じ集団内の個体間にも、遺伝的背景の異なる行動多型が存在する可能性を示唆している。《「慣れにくさ」に単独で寄与するゲノム領域の絞り込み》私はこれまでに、N2系統とHd-rR-II(R)系統の間の「慣れにくさ」の差異に関わる候補ゲノム領域を、16番染色体上に同定している。この領域の一部が、単独で「慣れにくさ」に寄与するか調べるため、ゲノムのほぼ全体がRと同じ配列で、16番染色体上の一部の領域のみがN2と同じ配列となっている系統(コンジェニック系統)を作出し、その形質値を元の近交系と比較することにした。選抜交配を行い、N2型に置き換わった領域が少しずつ異なる、3つのコンジェニック系統を完成させた。これらのうち「line C」という系統が、R系統よりも有意に「慣れにくい」形質を示した。このことから、line CでN2型となっている領域の全体、あるいは、他のコンジェニック系統と重複していないN2型の領域が、単独で「慣れにくさ」を規定する可能性が示唆された。《他のゲノム領域の影響》複数の遺伝子座が関与している可能性を考え、N2とRの孫集団のデータを用いて、2遺伝子座による作用を解析したところ、21番染色体上に、16番染色体とは独立して形質に影響する領域を検出した。21番染色体上の領域の作用は、当該領域のコンジェニック系統を作出することにより、別個に検証できると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS one
巻: 9 号: 11 ページ: e112527-e112527
10.1371/journal.pone.0112527