研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、以下の4つの成果があがった。1. クラスター展開を用いた冷却フェルミ原子気体のBCS-BECクロスオーバーの解析に関して以下の進展があった。私は前年度、相互作用が弱いBCS極限と強いBEC極限における超流動相転移温度がクラスター展開を用いて導出できることを示した。他方、2012年度の私の研究で相転移点は、Perron-Frobeniuss(PF)の定理を用いて解析できることを示した。しかしながら、前年度の研究と2012年度の研究の関係が曖昧であった。この問題を解決すべく本年度は、PFの定理を用いた解析方法を詳細に検討した。従来は高エネルギーでのカットオフが必要であったが、上手い変数変換を用いることでこの問題を回避できることが分かった。結果は国際会議で報告した。また、クラスター展開を用いて運動量分布をフガシティの二次までを厳密に計算した。結果は国内会議で報告した。2. フェルミ多体系に少数系の自由度が与える影響を調べる研究の一環として、二次元に閉じ込められたヘリウムの三体束縛状態について精密な数値計算によって解析した。研究結果は国内会議で報告した。3. 冷却原子気体などの孤立量子系において、どんなエントロピーの表式がエントロピー増大則を満たすか、という問題に取り組んだ。結果として、熱力学の基本的な関係式を全て満たす孤立量子系のエントロピーの表式の一つを示した。結果は原著論文にまとめ、Annals of Physics に掲載された。4. クォークの少数系に関して、QCDの真空のAbelian partがQCDの閉じ込めの性質をどの程度保持しているのかを調べるために、クォーク・反クォークからなるメソンと三個のクォークからなるバリオンのポテンシャルを数値解析した。その結果、Abelian partが閉じ込め力をほぼ完全に保持していることを発見した。結果は原著論文にまとめ、Physical Review D (Rapid communications)に掲載された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件)
Annals of Physics
巻: 354 ページ: 338-352
10.1016/j.aop.2015.01.003
arXiv:1501.07596
巻: 1501 ページ: 07596-07596
Physical Review D (Rapid communications)
巻: 90 号: 11 ページ: 111501-111501
10.1103/physrevd.90.111501
arXiv:1412.8489
巻: 1412 ページ: 8489-8489
Physical Review A
巻: (in press)