研究課題
特別研究員奨励費
前年度に引き続き,骨格筋特異的HMG-CoA還元酵素(HMGCR)ノックアウトマウス(以下mKOマウス)の解析を実施した.ライソゾーム酵素の一種であるカテプシンD・Lのウエスタンブロットによる成熟度合いの評価ならびにカテプシンDの酵素活性の測定を行ったが,これは対照群と比してmKO群で上昇していた.また,生成後の時間経過に応じて色調の変化する「Timer」蛋白をライソゾームマーカー「Lamp2」と融合させ,in vivoにおいて発現させ,ライソゾームのturn overをマウス前脛骨筋で評価したが,これは特に差を認めず,以上より,mKOマウスにおけるライソゾームの機能はむしろ低下ではなく,亢進しており,前年度の報告で認められたmKOマウスでのオートライソゾームの増加ならびにp62の増加は,オートファジー亢進ならびにアミノ酸の増加によるRagを介したp62の産生亢進によるものと考えられた.Doxycycline(Dox) inducible Acta1-Cre Tgマウスとの交配で作成したmKOマウス(以降dKOマウスと呼称)を用いて,筋障害のタイムコースの評価を行ったところ,DoxによるHMGCR遺伝子のKO後18-21日目にて全てのマウスで筋障害の発生が確認できた.そして,筋障害の発生する直前の検体を解析したところ,通常のmKOマウスと同様にdKOマウスにおいても,骨格筋でのオートファジー異常とfree-Choの増加が同様に認められた.骨格筋中の増加した遊離コレステロールを除去するためにLDL受容体(LDLR)の全身KOマウスとdKOマウスをかけあわせ,LDLRおよびHMGCRのダブルKOマウスを作成した.しかし,このダブルKOマウスにおいても通常のmKOマウスやdKOマウスと同様に骨格筋中の遊離コレステロールの減少を認めず,骨格筋へのコレステロールのLDLR以外を介した外因性の取り込みや細胞内部での輸送・消費経路に障害があることが推測された.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 466(3) 号: 3 ページ: 536-540
10.1016/j.bbrc.2015.09.065