学校保健の充実のための組織的・経営的条件の一つと考えられる「養護教諭による学校経営参画」がどのような過程を経て、どのような効果をもたらすのかを解明することを目的とした。インタビュー調査、アンケート調査、事例調査を実施し、これらによって得られた各種データの分析を行った。 その結果、「養護教諭による学校経営参画」は、「教職員それぞれが保健室課題を自己課題及び学校課題として捉え、共有化し、組織的な取り組みの拡充を促すための養護教諭の諸活動」であった。これによって、「教職員」の実体的側面・関係態的側面における変化がもたらされ、個人・集団・組織における実践性が高められていた。 ただし、以上のような動態が生み出され、促進されるためには、学校の実情に応じて、養護教諭の専門性や個人特性を「生かす」学校経営が不可欠であった。具体的には、管理職や主任層のリーダーシップにもとづいて「教職員」関係を調整すること、そして、養護教諭を適切に組織化し、学校内制度を整備すること、養護教諭の日常的実践を学校が自律的に支え促すこと、などであった。
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