研究課題
特別研究員奨励費
昨年度に続き脂肪族アルデヒド脱水素酵素 (FALDH) Aldh3a2 ノックアウトマウス (A2 KO) の解析を行った。昨年度までに,A2 KO のケラチノサイト (KOKera) では総 FLADH 活性が大きく低下し,細胞増殖が亢進していることを明らかにしていた。本年度は,増殖亢進の分子メカニズムを探り,酸化ストレス応答の亢進が KOKera の増殖亢進に関与する可能性を示唆した。また,A2 KO マウスは正常時では皮膚バリア機能に異常を生じないが,アセトンで角質を傷害した際の皮膚バリアが弱いことを見出した。さらに,皮膚バリアの回復が遅れることも明らかにした。以上より,シェーグレン・ラルソン症候群の皮膚病態メカニズムについての知見を得た。また,KOKera ではジヒドロスフィンゴシンがエステル型グリセロ脂質へほとんど代謝されず,代わりにエーテル型グリセロ脂質に取り込まれることを昨年度までに明らかにしていた。本年度はこの結果を定量的に評価するため,KOKera を重水素ラベルスフィンゴシン (d7-Sph) でラベルし,代謝物を LC-MS/MS で定量した。その結果,d7-Sph からエステル型グリセロ脂質であるホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンへの代謝は, KOKera でそれぞれ野生型の 17.9 %, 6.9 % であった一方,エーテル型グリセロ脂質であるプラズマニル/プラズメニルコリン及びプラズマニル/プラズメニルエタノールアミンへの代謝はそれぞれ 10.4 倍,22.2 倍であった。さらに今年度は,マウスの肝臓及び表皮におけるアルデヒド(ヘキサデカナール,トランス-2-ヘキサデセナール)量を LC-MS/MS によって定量し,肝臓に比べて表皮ではアルデヒド量が高い事を明らかにした。以上の結果をJBCに投稿し4月に受理された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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