研究課題
特別研究員奨励費
1. 研究の目的肥満細胞膜上に発現する新規受容体分子を探索し、その機能を解明すること。2. 実施した内容ヒト末梢血由来培養肥満細胞に発現する遺伝子から、細胞外に免疫グロブリン様又はC型レクチンドメインを持ち、細胞内にシグナルモチーフアミノ酸配列を持つ蛋白質をコードする遺伝子を選択した。そのうち、マウス肥満細胞にも遺伝子発現が認められるものを43遺伝子選択した。更に肥満細胞以外の免疫細胞における遺伝子発現を解析し、ヒト及びマウス肥満細胞で特に発現の高いTie2遺伝子に着目した。マウス腹腔、耳介、大腸粘膜固有層に存在する肥満細胞膜上のTie2の発現をフローサイトメトリー法により解析したところ、いずれの細胞においても発現を認めなかった。一方、マウス骨髄中に存在する肥満細胞前駆細胞 (bone marrow-mast cell progenitors: BM-Mcp) の膜上でTie2の発現を認めた。造血幹細胞膜上に発現するTie2は、リガンドであるAngiopoietin-1 (Ang1)の刺激により、インテグリンを介した細胞外基質への接着を亢進させることが知られている。Ang1は血管の壁細胞から産生されること、また炎症局所においてMCpは、血管内皮細胞膜上のVCAM-1への接着を介して組織に血管外移動することから、MCp膜上に発現するTie2はMCpのVCAM-1への細胞接着を制御するとの仮説を立て、検証した。BM-Mcpを単離し、Ang1添加の有無で VCAM-1への接着を比較したところ、Ang1添加群で VCAM-1への接着が亢進した。また、抗β1 integrin阻害抗体の添加によりAng1によるVCAM-1への接着亢進が消失したことから、Ang1-Tie2シグナル伝達はβ1 integrinの活性化を制御してVCAM-1への細胞接着を亢進させることが示唆された。3.意義本研究はMCpの組織浸潤機構の一端を明らかにしたものであり、炎症局所における肥満細胞数の制御を目的としたアレルギー治療薬としてAng1-Tie2シグナルを標的とできる可能性がある。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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