研究課題
特別研究員奨励費
当該年度は、マグネシウム合金上へアルミニウム被覆を形成し、圧延加工による薄板の作製を行った。当初予定していた高ひずみ速度鍛造は装置の設計に難航したため、室温のロールを用いた圧延加工を行った。室温のロールを用いることで、加工中の金属間化合物層および結晶粒の成長を抑制し、従来法である熱間鍛造よりも大きなひずみを与えることができると期待した。その結果、圧延により作製した薄板は熱間鍛造で作製した薄板よりも、より大きな伸びを伴う超塑性特性を示した。圧延加工によって作製した薄板は圧延方向に対して45度方向での引張試験において300℃、1.0×10-3 s-1の条件下で約850 %もの大きな伸びを示した。また、その際Al被覆は伸び後もMg合金上に健全に接合されたままであった。Mg合金部を光学顕微鏡および透過型顕微鏡により観察したところ、圧延材は10ミクロン程度の粗大な結晶粒と200ナノメートル程度の微細結晶粒で構成されていることが明らかとなった。この結果から、高温での引張試験中に動的再結晶が起こったことにより、高温でも微細組織を維持することが可能であったと推察される。また、圧延薄板材において金属間化合物層は断片的に存在していたが、高温での引張試験後には鍛造材と同様薄板全体にわたって均一厚さの金属間化合物層が連続的に形成していた。金属間化合物層の高温引張変形中の変形メカニズムを推察するため、熱間鍛造材において引張試験を超塑性変形中に数回中断し、金属間化合物層の観察を行った。その結果、引張試験前には金属間化合物層が存在しなかった界面から金属間化合物層が生成し、その後引張変形中に引張方向垂直に割れが生じるが、その亀裂は進展せずに引張方向に引き伸ばされている様子が観察された。これは、金属間化合物層の成長により割れの進展が抑制されたことによると考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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