研究課題
特別研究員奨励費
南極における遠方銀河や銀河団の観測から宇宙の構造形成史の理解を深めることを目的に、多画素超伝導カメラの開発を進めた。平成25年度までに、シリコンレンズアレイと平面アンテナを用いた光学系と力学インダクタンス検出器(MKID)を組み合わせたミリ波帯600画素MKIDカメラを開発した。レンズの直径は約1.6 mmと非常に小型となっており、レンズ表面の反射を防ぐ反射防止膜とともにエンドミルと超精密加工機を用いて加工した。これらの加工法や加工精度についてMitsui, Nitta et al., J. Astron. Telesc. Instrum. Syst., 1, 025001, 2015としてまとめた。実際の観測では望遠鏡光学系とカメラを結合する必要があるため、誘電体レンズ2枚を用いた冷却光学系を開発した。誘電体レンズの材料としては高密度ポリエチレンなどがよく用いられるが、シリコンなどの高屈折率材料を用いることでレンズを薄くし熱容量を抑える設計とした。冷却光学系の開発ではカメラ焦点面への熱負荷を低減させるため、迷光対策が重要となる。そこで、迷光解析ソフトを用いて開発した迷光対策用バッフルの評価を行い、バッフル内に多段の反射板を配置することで迷光による熱負荷を0.2 μWまで抑えることに成功した。冷却光学系に関する成果はSekiguchi, Nitta et al., IEEE TST, 5, 49, 2015としてまとめた。冷却光学系にMKIDカメラを配置して、カメラのビームパターン(検出器の空間感度分布)の測定を行った。結果、円対称なビームパターンを得ることができた。また、焦点面における3素子のビーム中心位置の評価も行い、幾何光学シミュレーションにおける設計値と一致することを確認した。これらの開発・評価を通し、ミリ波帯超伝導カメラのシステムとしての開発が進んだ。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (1件)
IEEE Transactions on Terahertz Science and Technology
巻: 5 ページ: 49-56
10.1109/tthz.2014.2367245
Journal of Astronomical Telescopes, Instruments, and Systems
巻: 1 号: 2 ページ: 025002-025002
10.1117/1.jatis.1.2.025002
巻: 1 号: 2 ページ: 025001-025001
10.1117/1.jatis.1.2.025001
Journal of Low Temperature Physics
巻: (印刷中) 号: 5-6 ページ: 1-1
10.1007/s10909-013-1059-3
巻: Published online 号: 5-6 ページ: 684-690
10.1007/s10909-013-1028-x