研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、申請書内の短期目標のうち「細胞外へ分泌されるmiR-143の同定とその機能の解析」を以下の通り実施した。また、miR-143と同時に転写制御を受けることが知られているmiR-145に関しても興味深いデータが得られたので報告する。①超遠心法やNano Sightによる粒子測定、ウエスタンブロット法などの解析の結果、スキルス胃癌患者癌部由来線維芽細胞 (CaF)と非癌部由来線維芽細胞 (NF)共にExosomeを分泌していることが分かった。しかし、その粒子数やタンパク質量については、両者間に違いは認められなかった。②リアルタイムRT-PCR法の結果、CaF由来のExosomeは、NF由来のExosomeと比較してより多くのmiR-143が内包されていることが確認された。③スキルス胃癌細胞株HSC-44PEに各Exosomeを処理した結果、CaF由来のExosomeを処理した場合、NF由来のExosomeを処理した場合と比べ、HSC-44PE細胞株の増殖能が亢進した。①~③より、miR-143はスキルス胃癌のCaF由来のExosomeに内包されており、CaF由来のExosomeは胃癌細胞に取り込まれることで、増殖能を亢進させる可能性が示唆された。一方、miR-143は、miR-145と共通の発現制御を受けて転写されることから、miR-145に関してもスキルス胃癌における機能を詳細に解析した。その結果、miR-143の発現と同様に非スキルス胃癌および周辺非癌部胃粘膜と比較してスキルス胃癌でmiR-145が高発現すること、NFと比較してCaFで高発現していること、CaFのマーカーとして知られているα-SMA (alpha-smooth muscle actin)を制御していることが分かった。さらに、miR-145の発現は胃癌術後の不良な予後と関連することが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (6件)
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