研究課題
特別研究員奨励費
原始惑星系円盤は形成初期段階において円盤は重力的に不安定であり、自己重力によって渦状腕が形成されることが数値計算により示唆されている。円盤が十分重い場合は、この渦状腕は分裂すると考えられる。このような円盤の分裂は、観測されている遠方ガス惑星や褐色矮星、連星系の形成過程を説明する可能性があり、星と惑星の形成と進化を考える上で非常に重要である。自己重力円盤では、渦状腕による円盤中のガスの再分配とショック加熱により、円盤を自己重力的に安定化させる。従って、円盤が分裂するためにはこの安定化に打ち勝って不安定性が成長する必要がある。円盤分裂の条件として、これまでは円盤の冷却率に対する分裂の条件が広く用いられてきた。これは、渦状腕が形成された円盤の冷却率が十分大きい場合、円盤が分裂するというものである。しかし、この条件とは矛盾する数値計算の例が多く存在する。例えば、円盤が断熱の場合でも分裂する計算結果や、円盤の冷却率が十分小さくても分裂しない計算結果が報告されている。このように、冷却率に対する条件では円盤分裂の条件として不十分であることが分かっている。そこで本研究では、より現実的な原始惑星系円盤の分裂条件を調べるため、原始惑星系円盤の大局的な数値計算を行い、円盤が分裂する条件と渦状腕の構造の関係を調べた。その結果、渦状腕内部のToomre parameter Qと分裂条件に対応があることを発見した。この結果は渦状腕を回転する細いリングとして扱った場合の線形解析から得られる自己重力不安定の条件として解釈可能であり、渦状腕の幅の2倍程度の長さで局所的に Q < 0.6を満たすことが円盤分裂の条件であることが分かった。現在、この円盤の分裂条件について、論文を執筆中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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