研究課題
特別研究員奨励費
1. 一部領域を欠失したDsupを定常発現するヒト培養細胞株の作出DNA保護活性を担う領域を探索する目的で、C末端側を欠失したS261(以下、Damage suppressor, Dsup)を定常発現する株(DsupΔC)、およびC末端側のみを発現する株(DsupC)の作出を試みた。その過程において、DsupCでは全ての細胞株が致死性を示した。一方、DsupΔCでは致死性はみられず、親株と同程度の細胞増殖能を示すことがわかった。得られたDsupΔCに対して抗Dsup抗体を用いた細胞内局在解析を行った結果、DsupΔCは細胞質に局在することが確認されたため、DsupΔCを定常的に発現する株の作出に成功したと判断した。2. DsupΔCにおけるDNA保護活性/X線照射後の細胞生存性への影響の検証DsupおよびDsupΔCが放射線照射によるDNA single-strand breaks(SSBs)の発生を抑制するかを検証した。Dsup_HEK293および、DsupΔCに対してX線を照射した後、Alkaline Comet assayを行った。その結果、Dsup_HEK293では親株と比較して有意にSSBsを含むDNA損傷の発生が抑制された。一方、DsupΔCではこのDNA保護活性は消失し、SSBsの発生抑制はみられなかった。また、X線照射後にDNA損傷マーカーであるγ-H2AXに対する免疫染色を行い、細胞当たりのFoci数を定量した結果、Dsup_HEK293では親株であるHEK293と比較してFoci数が有意に減少したが、DsupΔCでは、Foci数の減少傾向がみられるものの再現性を伴った有意な減少は認められなかった。さらに、4GyのX線照射し、細胞増殖能への影響を検証したところ、DsupΔCではDsup_HEK293よりも生細胞数が顕著に減少した。C末端側領域を欠失したことによりX線からのDNA保護活性が十分に機能せず、細胞増殖能に影響を与えた可能性が考えられる。以上の結果から、哺乳類培養細胞においてX線照射によるDNA損傷から保護活性を示すにはC末端側領域が重要であることが分かった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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