研究課題/領域番号 |
13J02122
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池田 篤史 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(PC2)
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研究期間 (年度) |
2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 美術史学 / 物質文化論 / 人類学 / 南アジア地域研究 / シク教 / インド美術 / 肖像画 / 偶像崇拝 |
研究概要 |
まず始めに、採用期間中には採用以前から保持していたシク教社会美術史関連図書を購読した。それらの購読の結果、グル・ナーナクの肖像画が成立した背景には、後継者争いやムガル朝との対立が深まる中、シク教が歴史的に場所や物体などの視覚的な権威に依存するようになったことが明らかになった。また、グル・ナーナク肖像画が成立した19世紀後半には、聖典の権威を支持する保守派と同時代の指導者たちを支持する改革派が存在しており、グル・ナーナク信仰は両者が折り合える唯一の妥協点であったと推測される。以上の文献購読の成果は所属研究科の公聴会での口頭発表として結実した。その場の質疑の中で、本研究はキリスト教などの他宗教と比較をしながら考察を進めていく必要があるとの助言を受けた。さらに、肖像画に描かれている人物と生前の姿が似ていないのではないかという指摘も受けた。8月8日から9日にかけて実施した東京出張では、イスラーム美術史が専門で、東京大学で教鞭を取っていらっしゃる桝屋友子先生からセカンドオピニオンを頂戴した。桝屋先生によれば、美術史学の見地からすると、議論の要となっている絵画資料の分析は妥当であると思われるものの、その記述が甘いと指摘された。幸いにも、東京の国立博物館にはシク教に関連する絵画資料が保管されており、東洋館の建て替えに伴って新たに展示品・所蔵品を調査することができた。その際には科学研究費で購入した単眼鏡やデジタルカメラを用い、入手したデータはノートパソコンで編集・加工し、整理して保存することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
突然の留学決定とそれに伴う大学院の退学のため、特別研究員の採用期間は2013年4月から9月までの半年間に限られた。したがって、予定していたフィールドワークは実施できず、採用期間中の成果は主に文献の購読と研究発信、そして東京出張によるセカンドオピニオンの獲得と資料収集である。
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今後の研究の推進方策 |
同じインド亜大陸にあっても、シク教の事例よりも遥か以前に、仏教において仏像が登場するなどの世界史上の画期的な出来事もあったので、そのような観点を含みつつ調査を進めるのが有効であろう。また、今後はしばらくの間は文献購読を控え、その分のエフォートを絵画資料の収集・分析・記述に費やす必要があろう。そのためには、採用期間中に実施できなかった現地でのフィールドワークが不可欠であり、現地の図書館での資料収集と博物館や美術館での展示品、所蔵品の撮影が求められる。
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