研究課題
特別研究員奨励費
固体惑星の内部熱進化と、表層地形の長期粘弾性変形のカップリングに取り組んだ。研究対象としては、地球の月や冥王星、さらには土星の周りを回る氷衛星など様々な天体を選択した。まず、簡略化した熱進化モデルを用いた粘弾性変形問題を月に適用した。月の地形や内部構造について、LROやGRAIL探査機により得られた最新のデータを解析した。その結果、約半数の巨大クレータがほぼ粘性緩和しきっていることが分かった。これを説明する熱進化モデルを、膨大なパラメータ空間から探すということを行った。その結果、地形が緩和しきるのに必要な温度は地殻下端で1300 K以上であり、それは月マグマオーシャンの固化から約50 Myr以内でしかありえそうにないことが分かった。このことは、月の巨大クレータの約半数はマグマオーシャン固化から間もない時期に形成したことを示している。これは内側太陽系における巨大衝突史を解き明かす鍵となる結果であり、国際誌Icarusに報告された。また既存の3次元熱対流モデルを用いた地形変形問題を冥王星に適用した。冥王星についてはまだ探査データがないが、New Horizons探査が迫っている。そこで得られるデータから冥王星の内部物質(放射性元素量)が推定できるであろうことを明らかにした。具体的には、巨大クレータの緩和割合やクレータ内部の断層方向(放射状か同心円状か)は表層の冷たく硬い層(弾性リソスフェア)の厚さで支配されており、この厚さは岩石核中のコアで決まることを明らかにした。この結果は国際誌JGR-Planetsに報告された。さらに、粘弾性変形プログラムとカップリングしやすい熱対流計算コードの開発も進めた上、氷衛星レアの進化における研究も行った。これらの結果は国際学会LPSCで発表された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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