研究課題
特別研究員奨励費
クオリティーコントロール後のゲノムワイドSNPデータに対して、1000ゲノム計画のJPTとCHBを参照パネルに用いたインピュテーションを行い、約530万SNPsのデータを得た。前腕の毛の濃さを5段階に分類したデータを表現型データとして、線形回帰モデルによる関連解析を行った。データセットはゲノムワイドSNPデータを用いた主成分分析の結果から、k-means法を用いて本土セットと琉球セットに分割し、それぞれのデータセットに対して再び主成分分析を行って上位10主成分得点を得た。得られた主成分得点と年齢を共変数に用いて重回帰分析を行った後、メタ解析により結果を統合した。結果として、6番染色体のETV7遺伝子上にゲノムワイド有意水準を満たすSNPを検出した。検出されたSNPのアリル頻度は本土と琉球の間でほとんど差が無かったため、このSNPが本土集団と琉球集団の体毛の濃さの違いを説明しているとは考えられないが、Human Genome Diversity projectのデータによると、ネイティブアメリカン集団において派生型アリルの頻度が顕著に高いことが分かった。ネイティブアメリカンは非常に薄い体毛をもつことが人類学分野では古くから知られており、この特徴が本研究で検出されたSNPによって部分的に説明できるかもしれない。ネイティブアメリカン集団において、当該領域に対する自然選択が作用した可能性を検証したが、正の自然選択が作用した痕跡は検出できなかった。ETV7と体毛の関係についてはこれまでのところ報告されていないが、ETV7と相互作用するIRF4は毛髪の色と関連することが知られており、ETV7が何らかの形で体毛の濃さに影響を与えている可能性は十分考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Molecular Biology and Evolution
巻: 31(11) 号: 11 ページ: 2929-2940
10.1093/molbev/msu230