研究課題/領域番号 |
13J02639
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松井 彰子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2014年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 300千円)
2014年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 遺伝的集団構造 / 分布 / 生息環境 / 開放度 / 仔魚分散 / 繁殖特性 / キララハゼ属 / 遺伝子流動 / 生息域 / スジハゼ |
研究実績の概要 |
沿岸性魚類の遺伝的多様性の保全には,種内の遺伝的な集団構造を把握し,その形成機構を解明することが不可欠である.本研究では,日本列島周辺海域の沿岸域に広く同所的に生息している姉妹種という理由からハゼ科の3種(ツマグロスジハゼ,スジハゼ,モヨウハゼ)に着目し,各種の生態的特性と遺伝的集団構造を調べて種間で比較することにより,沿岸性魚類の遺伝的集団構造の形成にかかわる生態的特性を明らかにすることを目的とした. まず,3種の生態的特性を詳細に把握するため,同一湾内(若狭湾西部海域)における3種の成魚の分布を調べたところ,ツマグロスジハゼとスジハゼの生息域は湾奥部の閉鎖的な環境に不連続的に分布しているのに対し,モヨウハゼの生息域は湾央部の比較的開放性が高い環境に連続的に分布していることが分かった.また,成魚の生息域の開放性や連続性に対応して3種の浮遊仔魚期の分散の大きさや繁殖特性(産卵期の長さや成熟サイズ)が異なることが明らかとなった.これらの結果から,3種間では個体群維持の戦略が異なると考えられ,ツマグロスジハゼとスジハゼでは仔魚分散を抑制して個体群を安定的に維持する滞留戦略をとるのに対し,モヨウハゼでは仔魚を大きく分散させて運任せで個体群拡大を図る分散戦略をとると推察された. 次に,ミトコンドリアDNAの部分塩基配列を用いて3種の種内の集団構造を分析し,生態的特性との対応を調べたところ,3種の種内集団間の遺伝子流動の制限は生息域の開放性と連続性によく対応することが分かった.このことから,3種の個体群維持戦略の違いは遺伝的にも支持され,遺伝的集団構造の形成には生息環境や繁殖特性が複合的に関わっていることが示唆された.この結論はハゼ科をはじめとした定着性の魚種で広く当てはまると推察され,沿岸性魚類の遺伝的多様性の適切な保全には,複合的な生態的観点を取り入れる必要があると考えられた.
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現在までの達成度 (段落) |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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