研究課題
特別研究員奨励費
マレーシア・キナバル山のリン可給性の異なる9種の森林においてN2O放出量を1年間観測し、リン資源の豊富な森林でN2O放出量が高いという明瞭なパターンを得た。さらに追加実験より、(1)窒素施肥によるN2O放出量の増加は、リン資源の豊富な土壌においてより大きいことを明らかにし、(2)リン資源の乏しい土壌での根の窒素吸収速度が大きいとの結果から、リン資源の乏しい生態系では窒素も同様に欠乏状態にあり、生態系内での窒素要求量が高まり系外への流出が抑制されていることがその原因であることを提案した。本結果については現在国際誌へ投稿中である。当初の予測とは全く逆の本結果は、マメ科樹木の少ない熱帯アジアの天然林におけるリン資源の役割は、窒素が豊富に存在している熱帯マメ科植林地におけるものと必ずしも同様ではないことを明らかにした。このように本研究は、生態系が窒素飽和状態にあるか否かによってリン資源が生態系外への窒素流出に与える影響は全く逆のものになる可能性を示した初めての研究となった。昨年度までにタイ・サケラート環境ステーションにおいて得た成果(これまでN2Oの放出源と言われていた熱帯マメ科植林地であっても、砂質土壌の上に成立している場合においては、N2O放出量は非常に少ない)およびインドネシアの植林地において得た成果(植林地のリター分解に対するリン施用の影響について考察したもの)については、国際誌に投稿し受理の通知を受けることができた。また、マレーシア・キナバル山にて得られた成果(リン資源は微生物の呼吸効率を変化させることによってN2O放出量を変化させる可能性)、インドネシアの植林地において得た成果(好気的環境においてもリン添加によってN2O放出量は増加する)、およびタイ・タイ・サケラート環境ステーションにおいて得た成果(リン添加培養実験)については現在査読が終わり、修正稿を提出中である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
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