研究課題
特別研究員奨励費
本年度は,人工林管理に伴う蒸発散量変動を調べ,それが水資源量に及ぼす影響評価を行った.まず,当試験地において43年間計測された流出水量,降水量,及びそれらの差し引きから計算される蒸発散量(損失水量)の長期的な変遷を調べた.蒸発散量は降水量や流出量に比べるとほぼ一定の値をとっていた.次に試験地における過去から現在までの林分構造の推移を推定するために,林分収穫表を利用した.林齢の増加に伴いDBHは増加し,立木密度は減少する傾向にあった.加えて,昨年度までに行った樹液流計測のデータを併用し,蒸散量の長期的な変遷の予測を行った.ず蒸散量を辺材面積と樹液流速とに分離して考え,DBHから辺材面積及び蒸散量を推定するモデルを作成した.林齢とDBHおよび立木密度の関係を林分収穫表から抽出することで,林齢の増加に伴う長期的な蒸散量の推移を予測した.その結果,当試験地の蒸散量は植栽後,現在の林齢約50年生まで増加した後,低下しているものと考えられた.一方で現在までの43年間の流域水収支データを見ると,蒸発散量の大きな変動は見られず,ほぼ安定的な蒸発散量が維持されている.蒸散量の変化だけで蒸発散量の経年変化を説明することはできないが,今後,遮断蒸発量や林床面蒸発の長期変動を調べることで森林管理に伴う蒸発散量変動のメカニズムがより鮮明になるものと考えられた.本研究成果は,森林管理に伴う蒸散量の変化を実測データに基づき日本で初めて評価した点に意義がある.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (14件)
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