研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、リン酸化サイトと天然変性領域の関係のなかでも、特にリン酸化サイトを持つ天然変性領域がタンパク質との結合面に寄与するケースに焦点を絞って解析を行った。これは、天然変性領域の中でもタンパク質との結合という明確な機能を持っている領域についてリン酸化の影響を議論する目的があるほか、今後分子動力学シミュレーションを行うにあたっての候補を絞り込む意味がある。昨年度利用した天然変性領域データベースのうちIDEALには、ProSと呼ばれるタンパク質の結合の際に構造を取るような天然変性領域が定義されている。これらProS領域上にあるリン酸化サイトを同定したところ、全部で138サイトとなった。また、一つのタンパク質が異なるタンパク質に結合するケースを踏まえ、異なる複合体上にあるリン酸化サイトを区別した場合には206サイトとなった。しかし、このうち58サイトではリン酸化サイトが直接結合に関与しないような部分に存在していた。こうしたリン酸化サイトの結合への影響をどう吟味するかは今後の課題である。また、結合面に位置するリン酸化サイトに対し、結合前後での残基の露出面積の変化を計算したところ、70~80Å2程度の大きな変化を持ち、リン酸化が結合に明確に影響することがうかがえるサイトがある一方で、10Å2程度とリン酸化の影響が不明であるようなケースも多くあった。特に、リン酸化が複合体の乖離に影響することが実験的に確認されたケースであっても、非リン酸化状態での結晶構造を見る限りでは必ずしも十分な接触面積を持っておらず、複合体の構造からではリン酸化が乖離に影響するのか判断のつかないようなケースもあった。これらのことから、リン酸化による天然変性領域の結合への影響を推し量るには、単純な残基の露出面積では必ずしも十分でないことが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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