研究課題
特別研究員奨励費
TRPチャネルは細胞内外の様々な刺激で活性化する非選択的陽イオンチャネルであり、細胞内外のセンサーとして研究が進展してきた。そのTRPチャネルファミリーの一つであるTRPV3は33℃以上の温かい温度や香辛料成分により活性化される。口腔は多様な刺激に曝され損傷が生じることも多い。一方で口腔上皮は再生力が高く、速やかに治癒することが知られているがその機構は不明である。口腔はTRPV3を活性化する温かい温度環境にあることに着目し、「口腔粘膜に発現するTRPV3は創傷治癒に寄与する」と仮説を立て研究を行った。昨年度までに、TRPV3活性化は口腔上皮の増殖を促進することで速やかな創治癒に寄与することを示してきた。本年度はまず、同じ体温付近の温度で活性化され、口腔上皮細胞に機能的に発現するTRPV4の創治癒への影響を検討した。TRPV4遺伝子欠損は創傷治癒に影響しておらず、口腔内の温度により誘導される迅速な治癒にはTRPV3を介した下流のシグナルが重要である事が示唆された。そこで、軟組織の創治癒で重要な役割を担う上皮成長因子受容体(EGFR)活性化への影響を調べた。TRPV3遺伝子欠損マウス(TRPV3KO)の口腔粘膜では、野生型C57BL/6(WT)と比較しEGFRのリン酸化が減弱していた。さらに、口腔上皮細胞へのTRPV3アゴニスト添加にてEGFRのリン酸化が促進され、TRPV3活性化による創治癒促進にEGFRシグナル増強が関与することが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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