研究課題
特別研究員奨励費
K 理論空間の層の主束の概念を導入し、その理論を構築する研究を行った。特に、これらの主束が Tate ベクトル束と呼ばれる無限次元ベクトル束と密接に関係していることを示した。近年の Lurie や Toen, Vezzosi その他の仕事によって、ホモトピー論および高次圏の理論を取り入れて旧来の代数幾何を拡張した導来代数幾何と呼ばれる枠組みが確立した。この枠組みを用いれば特に、高次のコホモロジーを幾何的に記述することが可能である。群を係数とする 1 次コホモロジー類はその群の主束の同型類によって分類されるが、2 次のコホモロジー類は主束のモジュライ、すなわちその群の分類空間の主束によって分類される。導来代数幾何においては一般化された群対象、すなわち結合性や単位元、逆元の存在などが up-to-homotopy のみで成り立つような空間の層に係数をとったコホモロジーを考えることができ、これにより、さらに高次のコホモロジーも一般化された主束の概念を用いて記述することが可能となる。そのような意味で代数的 K 理論が与える空間の層を無限大トポスの群対象とみなし、K 理論空間の層を係数とするコホモロジーを考えることが意味を持つ。そのコホモロジー類を分類するのが K 理論空間の層の主束である。本研究において得られた最も重要な結果は、K 理論空間の層の主束のモジュライ空間が、Tate ベクトル束の完全圏から定まる K 理論空間の層と同値となる、という定理である。Tate ベクトル束はファイバーが局所線形コンパクト位相ベクトル空間になるような無限次元ベクトル束であり、典型的には形式的ループ空間の接束として現れる。ループ群の表現論においては Tate 中心拡大と呼ばれる重要な 2 次コホモロジー類が古典的に知られていたが、上述の定理はこの背後にある幾何学的事象の全体像を明らかにしたと言える。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Algebra and Number Theory
巻: 9 号: 1 ページ: 1-11
10.2140/ant.2015.9.1
Algebraic and Geometric Topology
巻: 13 号: 2 ページ: 1071-1087
10.2140/agt.2013.13.1071