研究課題
特別研究員奨励費
平成27年度は、26年度から引き続き(1)集積経済下の租税競争の動学分析を取り組むとともに、(2)新しい研究課題に取り組んだ。(1)政府・企業の先見的行動に注目した集積経済下の租税競争分析:これまでに行った分析では、各国政府のみが将来を見据えて法人税計画を決定する一方で、国際間を移動する企業は毎期の利得しか考慮しないと仮定していた。この仮定は、政府の戦略的依存関係に焦点をあてることで、分析を簡単にするという利点があるが、現実の企業の立地行動において、立地先における将来の政策、及びその見通しが重要であることを考えれば十分とはいえない。そこで本分析では、企業も先見的行動をとることを許すことで、政府・企業間の税率計画を通じた戦略的な駆け引きをより現実的に描写することができる。分析では特に、政府・企業が将来をどの程度重視するのかや二国の市場規模の違い、また企業の移転速度に注目し、これらのパラメータが変化したときにどのように税率や企業分布はどう変化するかをみている。(2)産業の近代化に注目した集積経済分析:集積経済下における租税競争分析では、市場規模と法人税以外に企業の立地に影響する要因が捨象されることが多い。本研究では、立地要因の1つとして生産技術を取り上げ、生産技術水準が二国によって異なるような場合の、企業の立地行動を分析している。長期的な課題として、本枠組みに法人税、及び租税競争を組み込むことを考えている。(1)、(2)のいずれの課題についても、本年度中に方向性と大方の分析を完成させることができた。今後は、学会発表などで得られたコメントをもとにして、分析の改善・完成に取り組み、出来るだけ早い時期に学術誌に投稿し公刊を目指す。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 1件)
CCES Discussion Paper Series 56, Center for Research on Contemporary Economic Systems, Graduate School of Economics, Hitotsubashi University.
巻: 56 ページ: 1-27
European Economic Review
巻: 74 ページ: 57-78
10.1016/j.euroecorev.2014.11.008