研究課題
特別研究員奨励費
慢性化した不眠はうつ病のリスクファクターとなることが指摘されていることから、不眠と情動調節機能の間には強い結びつきがあることが予想される。しかし、慢性不眠症患者を対象にした情動機能に関わるMRI研究は非常に少なく、その脳内メカニズムの詳細は明らかになっていない。そこで本研究では、慢性不眠症患者における情動に関わる脳機能について、機能面、構造面の両方からそのメカニズムを解明することを目的とした。不眠症患者14名と対照健常者28名に対して、MRI内で恐怖表情、幸せ表情、ニュートラル表情を用いた意識上・意識下表情呈示課題を実施し、情動関連脳領域の活動を比較した。意識下画像条件における幸せ表情呈示時の脳活動を比較した結果、腹側線条体、眼窩前頭皮質、中脳腹側被蓋野、前帯状皮質、島皮質において、患者群における賦活量は健常群と比較して有意に低下していた。線条体は中脳腹側被蓋野からドーパミン系の投射を受けており、島皮質、眼窩前頭皮質とともに報酬やポジティブな情動反応に関連する脳内ネットワークを形成している。不眠症患者においてこれらの領域の活動が低下していることを明らかにした。さらに不眠症患者28名、対象健常者38名について拡散テンソル画像の撮像を実施し、白質神経連絡の統合性の指標である拡散異方性(Fractional Anisotropy:FA)の値を示す脳画像を作成し、各群のFA値を比較した。その結果、中脳―線条体間、眼窩前頭野付近、補足運動野付近の白質組織において、不眠症患者は有意なFA値の低下を示した。これらの領域は上記に示された報酬に関わる脳領域同士を連絡する白質組織であり、白質神経連絡の変性が不眠症の報酬関連の脳領域の活動低下、さらにはうつ病への脆弱性と関連している可能性を示唆した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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