研究課題
特別研究員奨励費
前年度までにヒスタミンに応答するためのリガンドと金属イオンに関して検討し、プローブ設計の一定の指針を得た。当該年度は、色素変換によるさらなるスクリーニングとイメージングを行なった。クマリンでの検討では、Ida型のプローブを4種合成し、常磁性金属を用いて金属錯体を得た。これに対し種々の滴定剤を加える事で、その蛍光応答を評価した。その結果、合成したプローブのうち2種類において、ヒスタミン非存在下では消光し、ヒスタミンを加えると、金属の脱離に伴う蛍光強度は上昇が見られた。そこで、クマリンで得たリガンド構造を、近赤外蛍光を有するCy5に導入し、評価した。その結果、Idaとメトキシ基をCy5に導入し、コバルトを用いた場合、良好なヒスタミン応答が得られた。選択性に関してはヒスタミン高選択性ではないが、脱顆粒時の濃度差によりセンシングができると考えられた。次に、細胞での応用を目指して誘導体化の検討を行った。免疫細胞の顆粒に高度に蓄積されたヒスタミンは、脱顆粒により放出されるが、細胞顆粒の体積に比べ大きな培地に拡散されると、濃度差を活かしたセンシングは困難となる。そこで、親水性のPEG180と、疎水性のオレイン酸部位からなるポリマーを蛍光プローブに導入することにより、蛍光プローブが細胞膜上に固定され、脱顆粒によって放出されたヒスタミンが拡散される前にセンシングすることが期待した。実際にポリマーを導入した蛍光プローブを合成し、肥満細胞モデル細胞として知られるRBL-2H3細胞を用いて、その機能を評価した。外因性のヒスタミンに応答することを確認した後、脱顆粒モデル実験を行った。カルシウムイオノフォアと、抗原抗体反応による脱顆粒刺激を行なった場合、いずれの場合においても蛍光強度の上昇が確認できた。このことからヒスタミン放出のリアルタイムな可視化に成功したと考えている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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