研究課題
特別研究員奨励費
平成27年度は生理的条件を考慮したフェレドキシン(Fd)と亜硫酸還元酵素(SiR)間の分子間相互作用とSiR活性との関連性を調べた。最初にNaCl濃度変化(0~400mM)の効果を酵素活性測定で調べた。Fd依存的なSiR活性測定は両蛋白質間の相互作用を反映する。NaCl濃度の上昇とともにFd依存的SiR活性は高まったが、40~80mM 以上のNaCl濃度ではSiR活性が低下し、200 mM以上ではSiR活性が殆ど観測できなかった。これらの結果から、SiRの活性はFdとの相互作用によって調節されることが示された。次は、等温滴定熱測定を用い、FdとSiR間の相互作用を熱力学的に調べた。FdとSiR間の相互作用は発熱反応であり、エンタルピー変化とエントロピー変化が複合体形成の駆動力であった。NaCl濃度の上昇は、エンタルピーの寄与を低くし、両蛋白質間の親和力を徐々に低下させた。駆動力の寄与から、静電・非静電的相互作用がFd:SiR複合体形成に重要であることが分かった。溶液NMR分光法を用い、各NaCl濃度でのFdとSiR間の相互作用をアミノ酸残基レベルで調べた。15N安定同位体標識したFdにSiRを加えて2次元HSQC測定を行い、SiRとの相互作用に関わるFdの残基の同定と動いたFdのNMRピークの移動度を計算した。NaCl濃度に関係なくSiRとの結合部位は類似していたが、静電・非静電残基が多く存在し、複合体を安定化させていた。しかし、Fdの両末端および[2Fe-2S]クラスタ前の静電・非静電残基は、NaCl濃度依存的な化学シフト摂動を表した。以上の結果から、①複合体の安定化および親和力の調節に、静電・非静電的相互作用の両方の非共有結合が重要であること②生理的条件に近いイオン強度でのFd:SiR複合体の配向がSiRの活性を最大化することが提案された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Biochemistry
巻: 未定 号: 2 ページ: 101-109
10.1093/jb/mvw016
Biochimica et Biophysica Acta
巻: 1847 ページ: 1200-1211