研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、外来抗原に対して免疫寛容を誘導しやすいという肝臓の特徴的な性質に着目し、Adベクターによる肝臓特異的な遺伝子導入を行うことで搭載遺伝子産物に対する免疫応答を抑制、ひいては免疫寛容を積極的に誘導することで、長期的な遺伝子発現を実現可能なAdベクターを開発することを目指している。昨年度までの検討により、Adベクターの搭載遺伝子(β-gal)をAHAプロモーターにより肝臓特異的に発現させることでβ-galに対する免疫応答が誘導されないことが明らかとなった。これが、β-galに対する免疫寛容の成立によるものかどうかを確認するため、追加免疫実験により確認を行ったところ、Ad-AHA-LacZ投与群ではβ-galに対してナイーブ状態に保たれていただけであり、免疫寛容が成立していたわけではないことが明らかとなった。次に、Adベクターの搭載遺伝子を肝臓特異的プロモーター制御下で発現させることにより、搭載遺伝子産物に対する免疫応答が抑制されるメカニズムを明らかとするため、各種免疫シグナルノックアウトマウスに本Adベクターを投与し、搭載遺伝子に対する免疫応答に変化が見られるか検討を行った。その結果、ある自然免疫シグナルノックアウトマウスにAd-AHA-LacZを投与した場合において、野生型マウスと同様に搭載遺伝子産物に対する抗体産生が認められた。したがって、本シグナル分子は肝臓において搭載遺伝子産物に対する抗体産生を負に制御している可能性が考えられる。さらに本シグナルノックアウトマウスにおいては、肝臓における搭載遺伝子の発現が野生型マウスと比較して高い傾向にあることも明らかとなった。今後は、本ノックアウトマウスにおける搭載遺伝子発現制御機構の詳細な解析をもとにし、Adベクターの搭載遺伝子産物に対する獲得免疫誘導について検討を進めていく予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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MOLECULAR THERAPY METHODS & CLINICAL DEVELOPMENT
巻: 3 ページ: 16001-16001
Molecular Therapy - Methods & Clinical Development
巻: 1 ページ: 14035-14035