研究課題/領域番号 |
13J04689
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
基礎法学
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山口 亮介 早稲田大学, 法学学術院, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2013
|
研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
|
配分額 *注記 |
700千円 (直接経費: 700千円)
2013年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | 日本法制史 / 近代法制史 / 法の継受 / オランダ法 / 裁判 |
研究概要 |
【研究目的】 本研究は明治政府成立当初、西欧法の継受が本格的に開始される前後の時期におけるわが国の「裁き」に関する認識あり方を明らかにするとともに、それらが徳川政権から新制度への移行の過渡期において、統治権力機構上いかなる意味を付与されるべきものとして当時の政府において扱われていたかを明らかにすることを目指すものである。これにより、わが国の近代法体制の輪郭形成の一旦としての「民事(訴訟)」・「刑事(訴訟)」の形成を考究するに当たっての確固たる基盤を形成することを目的とする。 【研究方法・研究成果】 本年度は、国外史料の整理の見通しを得ることが全体の研究目的の達成に有益であるとの判断から、日本にもたらされたオランダをはじめとした西欧法関係文獻、特に海外史料の蒐集・整理に重点を置いた。具体的にはオランダ出張を行い、主にライデン大学図書館とオランダ王立図書館において、日本にもたらされたオランダ法文献に関連する19世紀オランダ国法学についての文献を収集したほか、オランダの18~19世紀における法典編纂やフランス法との影響関係等に関する法学・法制史関連書籍を入手、読解した。帰国後蒐集史料・書籍のリスト化を進める一方で、19世紀初頭から中期にかけて日本で翻訳された数種の「和蘭律書」と当時の『和蘭字彙』をはじめとした蘭語辞書の裁きに関する語彙に着目し、オランダにて収集した法典との対照作業を行った。これにより、同書原典の民事訴訟法典と刑事訴訟法典とが混然とした形で理解されていることを確認した。また同原法典はフランス統治期終了直後のものであり、ここにオランダ法と日本法の受容の関係についての更なる考慮事項として、日本も明治初年から大いに影響を受けることになるフランス法との継受の関係を見通す必要があることが強く指摘されるべきであることを確認した。なお、以上の作業成果の一部は、『法律時報』誌において史料紹介を行うとともにKyushu University Legal Research Bulletin誌に英語論文として投稿し、査読を経て掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた海外史料の蒐集については、ライデン大学のW. J. Boot教授の助言及び同氏の計らいによって得られた現地の法学者との交流により着実にこれを進める事ができた。史料の整理読解も、おおむね計画通りに進めることができた。以上から、順調に進展していると判断するものである。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、司法省の前身たる諸機関における聴訟・断獄事務の体系的整理を中心とした国内史料の整理に着手する。電子化され国立国会図書館経由等の機関経由で公開されることによってアクセスが容易になった史料も少なからずあるため、蒐集にかかるコストを下げることができ、より史料の分析・考察に時間を割くことができるようになると思われる。
|