研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、感染補助因子による受容体非依存性感染に着目し、その機構の解析を試みた。本年度は、ネコ科動物におけるFeLIXの検出と解析を行い、イエネコをはじめ、ライオンなどの大型ネコ科動物、さらに大変貴重なヤマネコの血液を得ることができた。今後、野外におけるFeLV-Tの検出やFeLIX遺伝子の検出および機能解析の成果に期待される。また、本研究で分離されたネコモルビリウイルス(FmoPV)の受容体は明らかになっておらず、その宿主域も不明である。そこで、様々な動物種・組織に由来する培養細胞を用い、宿主域の解析を行った。その結果、FmoPVはネコとアフリカミドリザル由来の培養細胞のみで増殖した。ネコ由来の培養細胞では、様々な組織由来の細胞で増殖し、他のモルビリウイルスで既知の受容体とは異なる分子を用いて感染することが示唆された。さらに、FmoPVの受容体解析を行うため、ミニゲノム系の作出を行った。その結果、作出したミニゲノム系において、リーダーとトレーラー領域および転写開始と終結シグナルが動作することや、N、P、L蛋白質の供給が必要なことがわかった。さらに、C蛋白質がミニゲノム系を抑制制御している可能性が示唆された。また、この受容体の体内分布を調べるため、ネコを用いたFmoPV感染実験系の作出を行った。加えて、不活化ワクチンの有効性試験も行った。その結果、FmoPVの接種により中和抗体が誘導された。これより、感染は成立し、正常な免疫応答が起こっていると考えられた。経鼻・経口接種での感染が成立したことより、ネコ同士の接触や汚染された環境を介してFmoPVの伝播が起こることが裏付けられた。本年度の成果により、受容体非依存性感染機構について新たな知見が得られた。今後、これらの結果より、受容体非依存性感染機構を用いたウイルスに対する感染防御に役立つことが期待される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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