• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

魚類の脳がメス化する分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J04818
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 水産学一般
研究機関東京大学

研究代表者

仲宗根 潔  東京大学, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013 – 2015-03-31
研究課題ステータス 採択後辞退 (2014年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2014年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2013年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワードエストロゲン / hebp3 / esr2b / ff1c / メダカ
研究概要

これまでの研究成果から、「魚類の脳のメス化に重要な役割を有すると考えられる3種類の遺伝子hebp3、esr2b、ff1cはいずれも、卵巣由来のエストロゲンによって直接的に転写が促進され、それによってメスの脳で高い発現を示すようになる」という作業仮説を立て、これまでその仮説の検証を行ってきた。
1. hebp3、esr2b、ff1cのエストロゲンの作用機序 : 3種類の遺伝子の転写活性がエストロゲンによって直接的に活性化され得るかをレポーターアッセイにて解析した結果、hebp3とesr2bの転写活性はエストロゲンの濃度依存的に上昇することが明らかとなった。さらに推定のエストロゲン応答配列様の配列に対して変異を導入する実験を行い、それぞれのエストロゲンの作用機序を解明した。以上の成果は、魚類の脳がメス化する分子機構を解明する上で重要な糸口を掴んだものであると考えている。
2. hebp3の免疫組織化学染色 : 当研究室には6種類のhebp3の特異抗体が存在していたため、初年度は蛍光免疫織化学染色によって特異抗体のスクリーニングを行なった。その結果、2種類のhebp3抗体が使用可能である事が判明した。今後はhebp3のin situプローブとこれら特異抗体を用いて、発現細胞とタンパク質の局在を解析し、hebp3の発現場所と投射・輸送先を同定することで、hebp3がどのような生理学的な機能を有するか推定する。
3. TALEN法によるhebp3の変異体メダカの作出 : メス特異的発現を阻害した変異体メダカ、およびhebp3のノックアウトメダカの作出、およびスクリーニングとライン化を行なっており、これら2種類の変異体を解析することによって、メス特異的なhebp3の生理的な役割を同定する。それにより、hebp3がどのような行動パターンや内分泌パターンの性差を生み出しているのかを明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は主に「hebp3、esr2b、ff1cはいずれも、卵巣由来のエストロゲンによって直接的に転写が促進され、それによってメスの脳で高い発現を示すようになる」という作業仮説の検証を行ってきた。解析の結果、hebp3とesr2bの機能的なエストロゲン応答配列を同定することに成功し、エストロゲンの作用機序を解明する事が出来た。これらの成果は魚類の脳のメス化の分子メカニズムを明らかにするための重要な糸口を掴んだものであると考える。その他にも、hebp3の特異抗体のスクリーニングやTALEN法による変異体の作出、およびスクリーニングとライン化も順調に進んでいることから、②のおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

hebp3とesr2bに関しては、エストロゲンの作用機序を明らかにすることが出来たため、今後は免疫組織化学染色やメス特異的な発現を阻害した変異体、およびノックアウト個体を解析することによって、それらの性差がどのような表現形の性差に結びついているかを明らかにしていく。一方、エストロゲンのff1cに対する作用は他の細胞や遺伝子を介した間接的な作用であることが示唆された。ff1cは性ステロイド代謝酵素の発現制御に関わる転写因子と高い相同性を示す翻訳産物をコードしていることから、ff1cには標的遺伝子が存在する事が推測される。そのため、今後はff1cの標的遺伝子の探索、およびff1cのノックアウトメダカの表現形解析を行うことにより、エストロゲンがff1cを介して魚類の脳をどの様にメス化させているかを解明していく。

報告書

(1件)
  • 2013 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Neuropeptide B is female-specifically expressed in the telencephalic and preoptic nuclei of the medaka brain.2014

    • 著者名/発表者名
      Hiraki T, Nakasone K, Hosono K, Kawabata Y, Nagahama Y, Okubo K.
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 155 号: 3 ページ: 1021-1032

    • DOI

      10.1210/en.2013-1806

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sexually dimorphic expression of the sex chromosome-linked genes cntfa and polim3a in the medaka brain.2014

    • 著者名/発表者名
      Maehiro S, Takeuchi A, Yamashita J, Hiraki T, Kawabata Y, Nakasone K, Hosono K, Usami T, Paul-Prasanth B, Nagahama Y, Oka Y, Okubo K.
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 455 号: 1 ページ: 113-119

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2014.01.131

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] メダカの脳内でメスに偏った発現を示す遺伝子の制御機構2013

    • 著者名/発表者名
      仲宗根潔
    • 学会等名
      新学術領域研究「性差構築の分子基盤」第5回領域会議
    • 発表場所
      国民宿舎 虹の松原ホテル(佐賀県唐津市)
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書

URL: 

公開日: 2014-01-29   更新日: 2024-03-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi